3月28日さくら爛漫の東京で、日本台湾医師連合が、ホテルオークラにて盛大に主催した自民党幹事長安倍晋三先生の特別講演会は好評の中無事に終了しました。安倍先生は、「アジアにおける日本と台湾、そして地域全体の国際情勢」を演題にし、一時間に亘って、広い視野でアジアの地域経済と安全保障問題を論じました。 (文責日本台湾医師連合)
以下は講演から節録したものです。
本日、日本台湾医師連合の総会に、わたしを特別講師としてお招きして頂いて、誠に光栄と存じます。日頃、台湾出身の医師が日本の各地でわが国の国民の健康と地域医療を貢献していることを深く感謝致します、お礼を申し上げます。
去る3月20日における台湾の総統選挙が80パーセント以上の投票率で粛々と民主的に行なわれたことを心から敬意を表わし、お祝いを申し上げます。当局の発表によりますと陳水扁総統は僅差で再選を果たしました。まず、祝福を申し上げます。
選挙後は選挙について申し出があるようですが、これも最終的には、しっかりと法律にのっとって解決するであろうと思います。これから陳水扁総統は2期目に入り、台湾国内のみならず、この東アジア地域の平和と安定の面においても、陳総統が是非リーダシープを発揮して頂きたいと願っております。
 
自由や民主主義そして市場経済は多くの先進國の共通価値観であります。特に民主的な方法で選挙を行うことは極めて重い価値があると多くの国が信じでます。民主的な方法で選挙を遣り抜くことが、この國が進歩しているかどうかを判断する重要な物差しの一つでもあります。台湾はすてに3回の直接民主的な選挙が成功し、この事実は大変重いとわたしは思います。今後更に4回、5回選挙の成功を重ねていけば、世界各国はこの民主的なシステムを無視できなくなり、ひいてはこの国を認め、この国を尊重することになると思います。
こんな民主主義を台湾に植え付けたのは何と言っても前総統の李登輝さんである。彼は偉大な指導者でもある、と改めてそう思います。わたしは自民党の議員の一員として、何回が李前総統にお目にかかりましたことがあります。李前総統は日本語が上手で、日本の哲学も精通し、彼の話しに多くの各界人が感銘を受けました。これだけ日本のことを良く知り、しかも高い見地からものごとを言うので、ある意味では心理的な世界のリーダーではないかと皆が思いました。こんな立派なかたに、是非とももっと多くの日本人が会って貰いたいと思います。森内閣の時代、李前総統が心臓バイパス手術で訪日した時、多くの国会議員は、これは当然のことと思いました。やはり、これは多くの議員が李前総統にお目にかかったことの結果でしょう。
先ほど、祖父(=岸信介)の話しが出ましたが、台湾が世代交替したように、日本も確実に世代交替が行われる。かつて、日本と台湾の交流方法は、自民党と国民党の間で中心的に行いました。いままで、台湾との関係は、まず蒋介石総統との話しから始まりました。いま、時代が変わりまして、陳水扁総統と民進党としっかり関係を作っていかなければならないと思います。わが党においても、この頃台湾との付き合い方がずい分変わりました。先般、他界されました山中貞則先生が中心となった世代は自民党対国民党の構図でしたが、これから自民党は民進党と交流を深めて行かなければならないと思います。皆がこのように感じましたが、すでに中川昭一、平沼赳夫先生等の世代が台湾の各政党との交流を深めていく動きも始まっています。   
 わたしは、当選十一年目で森内閣と小泉内閣の中、内閣官房副長官を勤めさせて頂きました。いま、小泉さんが二期目に入り、彼の政治姿勢は、新思考のもとで、国内では思い切った構造改革に着手し、外交面でもやはり改革の一環とし、建て前だけじゃなくで、しっかり本音で国民に語って、実行していく。特に安全保障においてもこのスタイルを取っています。
 ご承知のとおり、小泉さんはいままでの政治家のタイプと違いました。かつて、わが党の総裁になる道は自民党の要職を歴任して、政府の要職をも経験をし、さらには派閥を率いて子分の面倒を見、兵を養って、そして勝負に出て、トップになっていくという道を歩かなければなりません。わたしの父もこの道を取ろうですが、途中で病に倒れた。小泉さんは、党の要職を経験していないですが、厚生大臣や郵政大臣は経験しています。いわゆる大蔵大臣、外務大臣という要職は一切遣ったことがない。かつてであれば、小泉さんは総理になれないと思います。森総理時代の後半、大変厳しい時期がありまして、森総理も自民党も国民から大変批判されまた。このままで行けば自民党は政権を失うではないかという時に、小泉さんが国民的に人気が有るという背景で総裁と総理になりました。
昨年、前総理として森さんが訪台をされました。そういう意味では、森さんは大変見識がありまして、仁義に厚い方でした。気配りや根回しをしっかりやる日本的なスタイルの政治家でもあります。一方、小泉総理は、気配りや根回しの言葉は知らないところがある方です。お二人の違う遣り方には、違う反応がいろいろありました。しかし、今まさには改革の時代を向いまして、いわゆる既得権利を得た団体と個別な関係を結んでいきますと、改革がなかなか前に進まなくなる恐れがあります。小泉さんは、お中元やお歳暮は一切受けらない、贈り物を着払いで贈り返すこと事さえあります。もちろん、ひとにもお送りませんでした。例えば、小泉さんが3期の厚生大臣を勤めましたが、普通ならば関連団体の日本医師会や歯科医師会の会長と会合を重ねていきますと、大変親しい関係になるはずです。しかし、小泉さんはそういうことは致しません。一般的には、現場を良く知っている方がきめ細かく政策ができますが、改革する時にはむしろこれで冷静な判断ができるという考え方でしょう。国内の改革はこれで進んでいると言っても宜しいであろう。外交については、小泉さんは首相になる前に、厚生や郵政等については詳しいですが、衆議院の外交関係の部会などでの発言はほどんとありません。しかし、首相になりますと、日本に住む人たちの全ての責任は、官邸の主の肩にかかって来るという実感がありますから、安全保障をしっかりしていく為には、外交はとっても大切と、小泉さんは身をもって分かっています。
では、小泉流の外交はどう進めているかと言いますと、それは外務省が作ったストーリーとおりに進めていくよりも自分の考え方を入れ込んでいく。首脳間のお互いの信頼関係を構築していて、それを主軸にして、外交を展開していくスタイルであります。何回も小泉さんと一緒に海外へ行って、首脳会談に同席してきました。森前総理はしっかり外務省が用意した“応答要領”を頭に叩き込まれ、首脳会談に臨む。決めた時間の中で、過不足なく、自分のユーモアを混じながら会談をしていく。かの有名な“森プーチン関係”はこれによって築いていた経緯でした。 
 一方、小泉さんは、“応答要領”を見ているか、見ていないか分かりません。ほどんど“応答要領”にのっとった発言はしていません。通常、他国の首脳と会談する際には、特に初めでの日米首脳会談においては皆が緊張しまして、外務省が用意した“応答要領”を熟読し、勉強してから会談に臨みます。しかし、小泉さんは外務省が事前に作った“応答要領”を無視し、ブッシュ大統領の前に、堂々と“日米同盟関係”はいかにアジア地域安定にとって重要が論じました。小泉さんのこういうスタイルをブッシュ大統領は大変気に入りました。昨年、首脳会談においても、ブッシュ大統領は小泉総理と会談は非常に楽しいと、自分の哲学と考えたことは充分に相手に伝えて、本当によく分かりました、と大統領は述べました。そういう意味では、ブッシュ大統領と小泉総理ぴったり合っていました。
そこで、小泉総理は日本とアジアの外交をどのように進めていくか、また、日中関係や日台関係や台湾海峡等の問題については、どの考えを持つか、わたしもなかなか良く分かりません。ただ、小泉さんはまず“日米同盟”は日本安全保障にとって、極めて大切であることを認識し、と同時に維持していく考えを示した。対アジア外交や対中国外交についてはこの思考を基軸にし、アジア地域全体の平和と安定的な繁栄を考えていく。総理は昨年シンガポールにて、“アジアにおいては、東アジアだけじゃなくて、東南アジアも、さらにはニュージーラント、オーストラリアを入れて、アジア全域として、それを繁栄させて行くべきではないか“と演説をなされました。小泉総理の対アジア政策について多くの人は反論はしないでしょう。
いま、日本と中国との間では、経済的、人的交流が非常に盛んで、対中投資も非常に多い。小泉首相は正式に中国訪問が出来ないが、日中の間は、政治レベルと安全保障レベルの対話は充分に行われている。小泉総理は、公式訪問をする為に、無理して何かを譲歩するような形で中国に行く必要がないと考えています。公式訪問がなくでも安定した対中関係を  維持できると、総理は十分に自信を持っています。そういう自信を持つには、わたしは“日米同盟”をしっかりしないといけないと考えます。
 一方、安定した中台関係については、この地域の平和と安定のことは日本の安全保障にとってきわめて重要なことです。日本は日中共同宣言を尊重し、今でもこの考えを維持しています。しかし、それ以上のものでもなければ、それ以下のものでもない。これが小泉政権の基本的な考えです。先ほども言いましたように今後、台湾が直接民主的な選挙を重ねて成功させますと、当然世界からの見る目は変わっていきます。世界各国はこの民主的なシステムに注目しなければならないと思います。
複雑な国際環境の中、日米はともに北朝鮮問題を抱えております。それを解決する為、いまは6カ国協議が開催されております。米国自身が大統領選挙の日程があり、イラク問題等を抱えている中、なるべく北朝鮮問題を大きくしたくないという側面がある。従って、中国がこの6カ国協議で果たしている役割は大きいものがあると思います。その結果、昨年と今年2回の6カ国協議を行った。中国はこの6カ国協議の中で自分の国益を大いに得られるようつもりでもある。しかし、朝鮮半島の非核化は日米中韓ロシア五か国の共通目的であり、これによって日本と台湾との関係を変える必要はありませんでしょう。今後、日中や日台関係は6カ国協議と関係なく、続けて安定して発展して行くと思います。
 
中国では2008年の北京オリンピック開催が控えており、40年前の日本と同じようにオリンピックを通じて国を発展して行くつもりでしょう。いま、中国はこのコースに入っていました。しかし先進国は先進国それなりのマナーが必要であろう、オリンピックの開催国として、それに相応しい行動を取るのは常識であろう。こういう考えは主流になって行くとわたしは思います。
日本が中国に対して大きな投資を行い、日本の景気を支えているのは中国への輸出であることも事実です。他方、日台間の貿易量も相当なものがあり、それが一方に片寄よってはならないとは当然でしょう。この為、われわれは常に冷静な判断をしなければならないでしょう。
いま、日本と台湾の交流は大変盛んですし、日本の方は多くの国会議員を始め、文化人、経済界も頻繁に台湾を訪問しております。台湾の方も大勢の国会議員が日本を訪れ、やはりこのように御互いに人の交流が盛んになれば、日台関係はもっと安定していくと思います。例えば日本と韓国との間、かつて歴史的に不安定な要素があったが、交流によって安定感は増した、とわたしは思いました。だから、日本と台湾との交流をもっともっと厚くしていくことは、どんな時も関係を安定するに必要であろう。
 7月に参議院選挙がありますが、その後3年間は恐らく選挙がないと思います。自民党が勝てば、国内において本格的に改革が断行できると期待しています。一方、外交面においても今より落ち着いていく方向へ展開するでしょう。いろんな不安定な要素がありますが、外交におきましては、イラクに自衛隊を派遣したこと。そこで何か問題があったらという問題、或はスペインと同じようなテロが日本で発生する場合があったら、われわれはどういうふうに対処するか。そういう意味では、国内の治安をしっかり守らなければならないと思います。
かつてPKOにおいて、カンボジアと東ティモールに自衛隊を派遣するかどうかを審議する際、国会でPKO法案を討論した時、政府与党はカンボジアと東ティモールは絶対安全だから自衛隊を出すと言い張っている。これは詭弁でしょう、危険だからこそ自衛隊を出す、絶対安全なら、なにも自衛隊を出す必要はなく、民間人やボーイスカートを派遣すればよいではないでしょうか。しかし、今回の自衛隊をイラクに派遣することについて、小泉首相が国会において、はっきりとイラクは安全でない、だからこそ自衛隊を出すと堂々に答弁しまして、自衛隊を出しました。いままでタブー視されるものが論議することによって、一つ一つを取り去りました。本来避けてきた議論を国民の目の前で論議することは大切だと思います。大切な議論というのは、憲法の改正や集団的自衛権の行使などがあります。日米安保条約をしっかり機能させる為には、集団自衛権を日本が行使できることは必要であろう。集団自衛権を日本が行使できることになれば、完璧な防御ができ、ひいては、アジア地域全体の安全が保証されるでしょう。小泉総理はタブーを恐れてはいない総理だからこそ、こういう問題に取り組んでいける。小泉総理は任期中、こうした姿勢を変更するつもりはないといいますが、わたしは憲法を改正しない限り、だんだん限界が近ついてくると思います。例えば、万が一サマワに派遣した自衛隊がテロリストに攻撃された場合、その地域の治安担当のオランダ軍は守ってくれるということなる。逆にオランダ軍が攻撃され、自衛隊に助けを求める場合、現行の憲法の解釈では自衛隊はそれを拒否しなければなりません。この矛盾な状況をさしてしまうのは政治の責任にあり、自衛官たちにとっては耐えられないです。立法府の一員としてこの問題を正面から議論しなければならないと思います。いままで、国会の委員会の中で論議できなかったのはおかしいと思います。しかし、こんな問題をだんだん議論ができることは大きな変化でしょう。
北朝鮮の問題についても、長い間、北朝鮮は形としては社会主義、共産主義を標榜しておりました。こういう国を批判することは、長い間日本国内では教養がないと言われた時代がありました。その為、この地域が聖域とされました。しかし、北朝鮮が日本国民を拉致したことが表面化してから、日本の国民がびっくりして、驚きました。ある意味では、そういう聖域がなくなりまして、今後の論議においては、日本やこの地域の安全保障の為、タブーなしで論議することは必要と考える次第と思います。どうも、ご静聴ありがとうございまた。  
 
質疑応答
Q: 日本政府は台湾との間に安全保障や政治問題等について、ずっと“関与せず、接触せず”
  の立場を取っています。しかし、去年の暮れに、台湾が国民投票を実施しようとする時、日本の交流協会台北事務所所長はがこの件について台湾総統府に対し、申し出をしました。これは日本政府の掲げた政策とは矛盾していませんか。
一方、中国が台湾海峡沿いに大量のミサイルを配備したことについて、日本政府は一言も言及していません、これはバランス的に欠けていませんか。
A: 大変厳しい質問でございますが、政府間の公式接触がないのに、いきなりそうしたことをしたのは、確かに唐突と思います。多くの国会議員もこのように感じました。交流協会台北事務所所長がこの申し出を出したことについて、わたしも驚きました。先般、わたしは中国の要人にお目にかかった時、この国民投票の事について話し合いをしました。日本の立場は日中共同宣言においては、中国の“中国は一つ”の立場についてそれを理解し、そして尊重すると、この立場は今も変わりがありませんと伝えました。この地域の平和と安定はわが国の国益にとって、一番望ましいこと、と政府はいろんな判断でこの措置を取った。自民党としてはこの国民投票については、政府と同じようなコメントは致しません。
 
   また、ミサイル問題について、日本も北朝鮮のミサイルの脅威に晒されていますから、
   そういう意味では、台湾の国民の皆さんが感じるミサイルの脅威は当然のことでしょう。
 
Q: 台湾が台湾海峡の安全保障について、再び国民投票を行う場合、日本は台湾とこの問題について、もっと意見交換をする必要はありませんか。
A: アメリカが制定したアメリカ国内法である台湾を守る“台湾関係法”は日本にはない。
   だから去年政府はどの基準で判断して、そのような措置を取ったか、わたしは分かりません。台湾の民主的な動きに対して、われわれはどう判断し、そして反応することは、これからわれわれも論議をしなければならないと思います。
 
Q: 陳水扁総統が再選されたことについて、自民党は祝福のメッセージを送って頂きませんか。
A: 自民党としてメッセージは出してないですが、先ほどわたしがこの会の冒頭で総統選挙が粛々と民主的に行なわれることを心から祝福させて頂きます。そして、台湾国内のみならず、この東アジア地域の平和と安定の面においでも、陳総統がリーダーシップを発揮して頂きたいと願っております。
 
Q: 去年のSARS騒ぎに続き今年も鳥インフルエンザという新興流行病が流行る昨今、こう言う伝染病を水際で食い止めるのはWHOを通じて世界各国での共同の努力しかないと思います。人間の健康に関する問題は政治だけじゃなく、健康上と公衆衛生問題でもあると思います。しかし台湾がずっとWHOへの加入を熱望し、それにもかかわらず、いまだにWHO加入が実現できない現状について、如何にお考えでしょうか。
A: 人間の衛生と健康に関しては、このような感染症を一つの地域に封じ込めることはできないと思います。その地域全体が衛生に保たれ、そして防御が出来て、始めてすべての国民の健康が守られる。これについて、SARSか典型的な例と思います。鳥インフルエンザについてもそうたと思いまして、どんどん国境を越えてほかの国に広がる。ですから台湾だけを除外するのはおかしいと思います。国連の理想は何だろうか、もう一度考え直す必要はあるでしょう。日本人は国連が好きで、国連は物凄く理想な世界と思いました。実際には、決してはそうではなくて、国連は各国がそれぞれの国益を主張する場でもあります。しかし、WHOのような組織は本来の理想で考えなくてはならないと思います。自民党はこのような考えを持つの国会議員が圧倒的に多いです。内閣副官房長官在任中に、わたしかそれなりの努力をして来ました。
 
Q: 安倍先生は日台交流と日中交流について、バランスが必要とおっしゃいますが、今小泉首相が訪中できない状況の中、台湾には行かれませんか。特にバランス感覚のいい安倍先生は、若者に人気ある秘密はそこに有ると思います。台湾を訪問すれば、もっと人気が高まるのではないかと思いまして、如何がでしょうか。
A: だんだん交流を深めるのは大切です。昨年麻生総務会長が台湾を訪問し、森前総理も訪台をされました。これは福田総理が退任後訪台していらいのことでした。バランスを考えながらわれわれも交流を深めていきたいと思います。今すぐ、わたしが行くと言うと、換えて後退することになる。そういうことを言って、絶対行ける時は言います。 
 
Q:わたしも学生ですか、個人旅行で台湾へ行ったことがありました。その時は、日本人と台湾人はお互いに尊重し合って、仲間に成り易いと肌で感じました。それとは別に、最近中国は凄い勢いで増大していて、一方新疆ウィグル族やチベットや香港や魚釣り島等の問題も抱えている。この辺を考えますと、日本は地政学上、日本に近い台湾ともっと緊密な関係を結ばなければいけないと思います。この点について安倍幹事長は個人の見解で、これから日本はどのように台湾と付き合って行くべきでしょうか。
A:72年台湾が安保理常任理事の席を失って、国連から脱退して今日まで、台湾は非常に特殊な関係で各国と交流して来ました。こうした中で、先ほど申し上げましたように、自由や民主主義そして市場経済が多くの先進國の共通価値観であること。台湾はずっとこれを守って来て、世界もこの事実を無視できなくなりました。
一方、中国は政治的には依然として社会主義を堅持していますが、経済は市場経済の原理を導入しまして、極めて特殊な政治形態と思います。その中、いま経済面は大変好調であり、この勢いで行きますと近い将来、中国のGNPが日本を追い越していくと予想されます。こうした状況の中、日中間の安定した関係は、安全保障や政治や経済関係の面においても望まれることと思います。この友好的な関係は日本にとって極めて重要であります。それと同時に、日本は国益の為に主張すべき時は主張しなければなりません。友好最上の価値によりじゃなくて、われわれが国益を守ることが一番価値あると思って、それで一時的にぎくしゃくするということがあってもやむをえないでしょう。中国は台湾に対して、武力的な侵攻による解決をしないこと、或いは台湾海峡で大波を起こさないことは、日本やアメリカやアジア地域の国にとって、皆が望んでいることです。その観点から日本は中国に対して、しっかり進言と話し合わなければなりません。間違ったサインを送らないことは大切なことです。
 
Q: 外務省の一部チャイナスクールと呼ばれる官僚は中国カードを使うですが、台湾カー
ドを使うのを忘れているようですか。日本の為、是非この台湾カードを使ってください。
A: 役所の方は台湾のことをもっと知らないといけないと思います。かつて外務省の人たちは台湾で中国語を習得してきましたが、いまはチャイナスクールと言われる役人たちは中国に気に入られなければ出世できないような情況になってしまった。世界中どの国の外交政策も自国の国益の為、有利な政策を外国に執らせようとします。中国は、戦略的に日本の外務省に自分の執らせたい政策を執らせようと、いろんなことをするのは当然でしょう。しかし、それをやらせてしまった外務省は問題でしょう。
 
Q: 北朝鮮に日本政府はいろんな書類を出した時、向うの方々の役職名は、やはり書き括弧( 「」 )を付けて出すでしょうか。先般、国民投票のことで日本が台湾に申し出を出した時、総統に書き括弧を付けて出しました。国交がないから仕方がないと、わたしはなるほどと思いました。そうすると北朝鮮も国交がないから、書類を出す時はもちろん書き括弧をつけて出すでしょう。
A: そういう所、わたしも良く分かりません。
   北朝鮮は使って貰いたい朝鮮民主主義人民共和国の正式な名称があります。平壌宣言の中、われわれは朝鮮民主主義人民共和国を使いました。一方、去年われわれが国会に出した拉致被害者家族を支援する法律の中、“北朝鮮”の拉致によって被害にあったという文言がありました。これに対していろんな意見が出ましたが、結局国交がないということで北朝鮮を使いました。
   台湾に対して出した申し出の文書、わたしは見ておりませんので良く分かりません。役所はどうしてもそういう所なのでなかなかわれわれが言っても仕方がない。国交がないところは難しいところがありますでしょう。ただ、総統に書き括弧をつけたことが大変不愉快なことは、わたしは理解できます。北朝鮮に出した外交文書は、わたしは見ておりませんので良く分かりませんが、たぶん書き括弧つけていないと思います。通常外交文書は書き括弧を付けません。
 
Q: 中国への輸出は日本経済を支えるところがあると思いますが、一方日本のデフレは中国からの輸入によるものという見方もあります。その辺は如何がお考えでしょうか。台湾についても同じよな状況ですが、その辺、日本としては積極的に台湾と経済協力のFTAを結ぶ計画はありますでしょか。
A: 最近日本は,FTAを結びました。韓国とも話しが進んでいます。基本的に、FTAを次々に結んでいく方向となっていく方向です。台湾との間にもFTA研究会がありまして、両国の国会議員はこの問題について議論されています。
   中国については、このFTAを結ぶ話し合いは、今のところ全くない。中国は知的財産保護法等のいくつかの法律まだ整備していない現状において、話しを進めるのは難しいと思います。われわれが安心できる法的な体制がしっかりしない為、これを懸念する経済人もかなりおります。この問題を片付けないと、なかなかすぐFTAを結ぶことは難しいでしょう。我々は今、中国に対して大変な輸出と投資をしていますが、これは、相手は必要があるから輸出をする。台湾も中国に対して大きな投資をしています。この投資について、相手国が締めると困ると考え日本人は一部います。しかし、投資が止まったら相手の国も同じく困るでしょう。経済というのはお互いに利益があるのだから成り立てる、とわたしは思います。
あと書き
講演後の質疑応答の際に、聴衆から鋭い質問が次々と飛び出しましたが、安倍幹事長は彼の言葉通りに裏表なしに、一つ一つ丁寧かつ率直な口調で答えて下さいました。その姿は、見事に臨場の聴衆の共感を得て、心をひきつけておられました。魑魅魍魎の政界で活躍している政治家と思えないほどの清々しい姿は正しく時代の寵児そのものでした。
講演を終えて感じるのは、自民党のような膨大な組織をひとつにまとめて行くのは至難の業だということです。この戦後からずっと日本をリードしてきた自民党自体が変革を模索し、様々な信念と思想を持つ政治家たちがいる中、僅か49歳にして幹事長まで登りつめたのはさすがです。そのやり甲斐と苦労にはわれわれの想像を絶するものがあると思います。しかし、日本そして世界中に安倍先生のような先見と叡智を持った政治家がもっと沢山いらっしゃれば、きっと日本、アジアひいては世界が平和且つ安定した発展ができると我々は確信しております。これからも安倍先生のさらなるご発展とご活躍を微力ながら応援していきたいと思います。
2005-07-01 13:28
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